最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)2416号 判決 1950年4月07日
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人脇坂雄治提出の上告趣意について。
しかし、原審が本件を常習賭博と認定した資料は、被告人に存する賭博の前科と(所論の賭博開帳図利罪の前科は、原審は本件常習賭博認定の証拠に供していないことは、原判決の証拠説示により明らかである)、被告人に対する司法警察官の訊問調書中における「私は最近博奕場に出入する様になって津島でも顔役となり親師もする様になって一儲する心算でやったもので有ります」との被告人の供述記載とを総合して、常習性を認定しているのである。このように賭博の前科の外に常習性認定資料のある場合には、仮令所論十年以前の賭博の前科と雖も、之を常習性認定の資料に供することは何等実験則に違背するものと称することはできない。所論引用の大審院判例は本件には適切のものではないのである。論旨理由なし。
仍って、刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条に従い、主文のとおり判決する。
此判決は裁判官全員一致の意見である。
(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)